商学研究18号33-52頁。

 東京地裁令和元年10月18日判決で争点となった,高額買取りした土地の時価差額分は売上原価の算入ができるかについて,税務会計学な研究手法を用いて検討する.
 本論は,法人税法における寄附金課税の可否が問題とされる.寄附金課税の可否を検討するにあたり,納税者が高額買取りした背景として,土地の譲渡人である相手方が債務超過状態であったことがあげられている.土地の譲渡人が債務超過状態であるため,納税者が高額買取りをすることが,納税者の利益につながることがある.納税者の主張により,土地の譲渡人である相手方の債務超過状態が継続した場合に,より大きな損失を被ることが明らかであったことをあげる.