ビジネス・マネジメント研究第21号、73-89頁。

非公開株式の財産評価(いわゆる「取引相場のない株式」)における営業権の取扱いについて,令和3年度・令和4年度,令和5年度の租税訴訟学会研修・研究大会において,租税実務の問題としてとりあげられた.

相続税における営業権を包含する非公開株式の評価について,専門的評価によって時価を付すことが妥当であるのか,という問題があげられた.

このような問題を取り上げた背景として,相続税における非公開株式の営業権について,納税者と租税行政庁との間に争いが生じている.

 東京高裁令和6年8月28日判決[1]は,総則6項の適用すべき特段の事情がないとし,財産評価基本通達の定める画一的な処理を認めた.

 このため,本論においては,非公開株式の財産評価における営業権の取扱いについて論ずる.また,既に公表された後記するビジネス・マネジメントの先行研究を体系的にまとめることを目的とするものである.


[1] 東京高裁令和6年(行コ)36号・令和6年8月28日判決

 東京地裁令和3年(行ウ)22号・令和6年1月18日判決