月刊税務事例57巻10号、21-34頁。
問題提起
企業会計の「収益認識会計基準」では、「経済的実質」を用いて収益を認識する。
一方で、法人税法(租税法)にも「経済的実質」という考え方があり、両者の意味が異なるものである。
このため、税務実務を複雑にしており「経済的実質」と、どのように向き合うかが問題となる。
考察
収益認識基準と法人税法の権利確定主義に相違がある。
収益認識基準は、商品販売とそれに伴うポイント付与を一体の取引と捉え、ポイントに相当する対価を将来の収益(契約負債)として処理する。
法人税法の権利確定主義の考え方にたてば、ポイント付与の時点では将来の商品交換に関する契約は成立しておらず、権利は確定していないため、原則として収益の前受け(契約負債)とは認識しない。法人税基本通達で例外的に前受け処理を認めているが、これは権利確定主義の例外的な扱いに過ぎないと結論付ける。