租税訴訟学第12号55-79頁、財経詳報社

 平成26年3月20日の税理士法改正により、租税教育が日本税理士会連合会及び税理士会の会則の絶対的な記載事項に加えられ、租税教育が日税連の行う「事業」の1つとして定められることとなった。租税教室の実施件数は、平成15年度の333件から平成29年度の11,911件と大幅に増加し、今日に至っている現状にあるといえる 。このため、税理士が実施する租税教育の機会は増大しているといえる。近年、納税環境の充実に、税理士が寄与しているといえる。

 信義則の適用の有無については、信義則の適用により経済的便益を受ける納税者と他の納税者との公平性が問題とされ、先行研究においても議論がなされている。他の納税者との公平性を考える場合に、わが国の納税環境が影響を与えると考えられる。また、わが国の納税環境には、わが国の租税教育がどの程度、充実しているか関係するといえる。  このため、本論は信義則の適用と関係のある納税環境の整備の一環として行われる租税教育に着目して論ずることとする。