申告書・決算書の作成

 決算書は、会社の成績表(通信簿)のようなものです。会社の成績表をどのように作成するかによって、メインバンクから融資を持ちかけられたり、打ち切られたりします。
 決算書の数値が良いと、通常は利益が出ているので法人税がかかります。成績評価を良くすると、税金がかかってしまいます。どのくらいの税金をかけて成績評価を良くするのかは、だいたい決算日の3ヶ月ぐらい前に顧問税理士に相談します。
 法人税法で認められている損金(経費)の計上の仕方がいくつかあります。近年は金融商品を利用した節税は難しくなっています。
 決算の前に、事業用資産の投資をしたいと考える方もいますが、支払った金額がすべて損金(経費)として認められないこともあります。
 ただ、決算書の数値を何でもかんでも捜査することはできません。ただ、ある程度の数値は調整することができます。
 決算書が完成すると申告書を作成します。
 税理士が作成する申告書には、申告書の説明書となる書面添付をすることができます。税理士がどのようなことを指導したのか、どのようなことを整理して申告書を作成したのかを記載することができます。
 申告書の説明書をしっかり記載すると、税務調査の確率が減るといわれています。税理士の権利として認められている書面添付制度を活用し、税務調査の時間を少なくするようにしましょう。

税務調査の立会

 顧問税理士として税務調査の立会をすることができます。
 書面添付制度を利用した場合には、所轄税務署から顧問税理士が意見聴取されます。所轄税務署が顧問税理士の話しを聞いてもなお、納得いかない場合には税務調査の手続が開始されます。ただし、明らかに脱税をしているような場合には、顧問税理士の意見聴取は省略されてしまいます。
 税務調査では、課税要件事実が争われることがあります。簡単にいえば、課税要件事実とは、法人税が課税される事実のことです。例えば、現金商売で税務調査職員は1日の売上10万円と事実認定したとします。帳簿上は1日の売上が3万円だったとします。この場合に、1日の売上がどのぐらいであったかが争点となります。税務調査職員は1日10万円販売したことを、来客数や材料の仕入れ状況等で立証します。顧問税理士は、他の方法で1日10万円の販売ではないことを立証することになります。
 他にも、雇用契約なのか、請負契約なのかによって消費税の課税関係が違うことから、どのような事実をもって、顧問税理士は請負契約として主張するのかが問題となります。
 本来は、申告書を作成した時点で、書面添付制度を利用して、税務調査職員と税理士との間に見解の相違がないようにすることが重要です。
 しかしながら、税務調査職員は会社の実態等を数値でみて判断して、調査先を選定しているため、残念ながら税務調査先となることがあります。
 このため、日頃から会計帳簿をしっかり整備することが重要となります。

資金繰り等の相談

 中小零細企業の融資には、大きく分けると運転資金と設備資金の2つがあります。
 運転資金をお借り入れする場合には、目安として月商の3ヶ月程度といわれています。たとえば、年商1,200万円の法人であれば、300万円が目安となります。
 設備資金については、事業用資産として自動車・重機・機械装置などを購入する場合にお借り入れできます。設備資金は、見積書が必要となります。また、お借り入れ先の金融機関から相手先に代金を振り込むことがもとめられます。
 役員勘定が問題となることが多々あります。役員貸付金が計上されていると、会社が社長に対して金銭を貸し付けていることとなります。金融機関から借り入れる前に、役員から金銭を返して貰ってから、相談するようにと厳しいことを言われることも多々あります。役員貸付金が計上されるケースとして、多額の交際費等が計上され、交際費等の全部又は一部の計上が不適当な場合に計上されることがあります。
 予定よりも売上が大きくなり、気持ちまで大きくなって、繁華街に足を運んでしまって、融資が受けられなくなったケースもあります。
 資金繰り等の相談は、社長の生活習慣に関係することもあります。
 お金を借りるということは、社会からの制約を受ける、自己責任でやっているからといって、何でもかんでも自由にはならないということです。
 
 補助金を申請した場合に、補助金の受給と支払いのタイミングがズレることがあります。このような場合にも、融資を受けることが出来ます。
 補助金はもらうことが目的となり、その後の事業が上手くいかなくなることが多々あります。今の事業を発展するために補助金を受給すべきか慎重に検討しましょう。補助金を受給したせいで、固定費が大きくなり資金繰りが厳しくなっては本末転倒です。