高崎経済大学論集64巻1号97-116頁、高崎経済大学

 経営学における先行研究 において、社会的責任とは企業が存続し続けることであると論じられており、会計学と共通するところが多いといえる。なぜなら、企業会計は逆基準性 の問題はさておき、費用の配分という問題から減価償却の手続きを行う。当該減価償却は、継続企業の公準により認められるところであることはいうまでもない。このような考え方の批判的な立場として、企業の社会的責任などの理由から新たな会計領域が存在すると考えられる。

 したがって、本稿は会計学の研究手法(なお、本論においては別途記載がない場合には、企業会計における会計学の研究手法とし、狭義の定義とする)を用いて、社会的責任を論ずるところである。また、本論における新たな会計領域の代表的なものとして環境会計をとりあげ論ずることとする。会計情報の利用者のニーズが多様化しており、さまざまな会計情報(例えば、環境会計)が研究されているのであろう。新たな会計領域を研究するにあたり、会計学の科学的な手法(社会科学としての会計学あるいは会計研究)とはどのようなものがもとめられているのか、再確認し、検討することとした。