月刊税務事例57巻4号36-48頁、財経詳報社

 法人税法は、役員給与等を原則として損金不算入としており、一定の要件を満たした場合に限り、損金算入を認めている。

 本論において取り上げる「不相当に高額」な役員給与等は、具体的な金額の算定方法が法律によって規定されておらず、租税行政庁と納税者との間で争いが生ずることがある。このため、「不相当に高額」な役員給与等をとりあげて、役員給与等を税務会計学的アプローチで研究することとする。

 税務会計学は、資本不課税の原則をあげ、原則として、未実現利益に課税することは認められてない。しかしながら、役員給与等が損金不算入とされると、課税所得が過大となり、法人税等が過大となる。例外として、維持すべき資本が社外に流失することによって、納税者である法人とその利害関係者に影響を与えることになる。

 したがって、役員給与等を広く損金不算入とすることは、維持すべき資本が社外に流失するおそれがあるため、法律の明確な規定に基づいて行われるべきであると結論付けた。また、未実現利益に課税することになるが、資本不課税の原則の例外として、役員給与等が損金不算入となることから、租税法律主義に基づいて課税されることが要請されると結論付ける。