租税訴訟第16号179-202頁、財経詳報社

 税者が「ふるさと納税」を行い、あるいはダイレクト納付を選択するなど、近年、納税者は納税の仕方や節税が、身近なものとなっているように思われる。

 租税法において租税回避行為が問題となることがあるが、租税回避と節税については、明確な判断基準がなく、納税者と課税庁側に齟齬が生ずることがある。また、納税者にとっての節税は身近なものであり、その代表的なものの一つとして生命保険料控除があげられる。

 他方で、納税者が節税と考えた行為や取引が、租税回避行為として否認されることがある。

 納税者にとって身近な節税が、租税回避否認の論理によって租税回避行為として否認されるとすれば、納税者の予測可能性の問題が生ずることになる。  本論においては、租税回避否認の論理について検討を行うものとする。