経営実務研究第19号、53-70頁、日本経営実務研究学会。

 オリエンタルランド事件を題材に無料優待券が交際費等に該当するのか否かを検討したものである。

 遊園施設を無償で利用させる場合に、個別的に無償で利用した者に対して支出したものではない固定的な事業運営費用と「接待、供応、慰安、贈答その他にこれらに類する行為」は、間接的・期間的な対応関係にあるといえる。この場合には、「接待、供応、慰安、贈答その他にこれらに類する行為」とその支出は、直接的な関係がないため、具体的な会計処理として現れないことがある。

 交際費等とは、「事業関係者等との間の親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図る」という効用を得るための犠牲(支出)と捉えることができるが、当該効用とその犠牲の関係が直接的・個別的な対応関係であるのか、間接的・期間的な対応関係であるかで、捉えることができる。

 無料優待券に係る交際費等は、「事業関係者等との間の親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図る」という効用と「事業運営費用」という犠牲で交際費等と判断している。このことから、交際費等の範囲は、「事業関係者等との間の親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図る」ことを実現するために発生した費用のうち、間接的・期間的な対応関係が包含される場合には「事業運営費用」が含まれることとなる。これに対して、交際費等の範囲を直接的・個別的な対応関係に限った場合には、「本件優待入場券を発行するための費用」となる。

 交際費等の範囲が間接的・期間的対応をも包含するとなると、「支出したもの」の範囲が多岐にわたり、納税者の予測可能性を害するおそれがある。また、間接的・期間的対応をもって判断されるとなると、個別具体的な「接待、供応、慰安、贈答その他にこれらに類する行為」との紐付けがなく、交際費等の支出した額を算定することになる。このため、個別具体的な行為とその支出した額の事実を認定することなく、交際費等を判断することが可能となるため、問題であるといえる。

 したがって、交際費等の「支出したもの」は、直接的・個別的な対応関係のあるものに限って交際費等と判断すべきであると結論付けた。