高崎経済大学論集64巻2号155-173頁、高崎経済大学

 本論の目的については、滞納処分の停止の範囲(射程)を論ずることである。

 本論の問題意識として、滞納処分の停止については先行研究が乏しく、新型コロナウイルスの影響により、税務署長の職権をもって判断なされるが、その裁量処分の範囲が不明確なため、研究を行った。

 本論の学術的意義については「生活を著しく急迫させる場合」の範囲について検討を行い、国民の「社会的身分」の維持と円滑な国税徴収事務の見地から、どのように行われるべきか論ずるものである。このため、税務会計学の発展に資するものであるといえる。

 本論と先行研究の違いについては、先行研究においては滞納処分の停止の判断については「滞納者」を中心に生活を窮迫するかの判断を論ずるところであるが、本論においては滞納者と扶養親族等を包含して論ずるものである。このため、滞納者の扶養親族等の「社会的身分」に着目して論ずる。