観光まちづくり学会誌第13号10-19頁、観光まちづくり学会
世界から観光大国と呼ばれるようになった日本ではあるものの,東京オリンピックに向けて更なる外国観光客の誘致が期待されている.
他方で,東京オリンピックの経済効果は,東京近郊に限定されるのではないかとの懸念の声をあげられている.
現在の経済市場において,東京オリンピックの経済効果を広範囲に波及させることが急務なように思われる.すなわち,地方都市の観光まちづくりの活性化によって,東京近郊でない地方都市にまで経済効果が波及されることが期待される.また,我が国の観光都市の観光資源は潤沢にあり,いかに観光資源を活用するかが問題となっている.
観光資源を有効に活用したい地方自治体ではあるが,その財源に制限があり,東京都が実施した東京都観光産業振興プランのような計画を実行することも困難な状況があるように思われる.このため,財源の確保の方法の1つとして,東京都宿泊条例のような観光税を創設することが考えられる.
本論においては,地方公共団体が独自に観光税を創設する際に問題となる課税標準の設定の方法について,税務会計学の手法により研究したものである.