租税訴訟第14号119-143頁、財経詳報社

 本研究は平成31年(令和元年)の正月に『租税訴訟』第8号を読み直すところから始まった。「我が国は、形式的な法化社会から『法の支配』が浸透し実質的に基本的人権が擁護される民主的、かつ公正な法化社会を目指すべきである。」 ことがあげられており、「第二次世界大戦が終り、現行憲法が制定されてから約70年を経過したが、行政訴訟の原告敗訴率は90%であり、裁判所は救済機関として納税者を十分に救済しているとはいえない」 ことがあげられている。

 形式的な法化社会から「法の支配」が浸透し実質的に基本的人権が擁護される民主的、かつ公正な法化社会とは、どのような意味であるのか、私自身が深く理解していないように思えた。このため、基本的人権を擁護する役割としての罪刑法定主義になぞられた課税要件法定主義と租税法律主義について今一度、研究することとした。