問 税務調査にあたり、棚卸資産が調査対象となっておりますが、どのような点に留意すべきですか。
答え 適正な処理がされている場合と、適正な処理がされていない場合とに区分されます。
①適正な処理がされている場合とは、「数量の把握」と「評価」がいずれも適正になされているかです。中小零細企業の場合には、最終仕入原価法を採用していることが多いため、期末の直近の棚卸資産の単価がいくらであったかが、重要となります。「数量の把握」については、税務調査の時点で、決算日の棚卸資産を実査することは難しいと思われますので、「評価」が適正であったかが問題となります。また、「数量の把握」が明らかに間違っている場合には、税務調査職員から指摘を受けることもあります。直近の仕入高と売上高から、明らかにつじつまが合わない場合には、指摘を受けることがあります。
②適正な処理がされていない場合には、推定課税に準じて処理をせざるを得ないと思われます。棚卸資産の数量が、毎年だいたい同じくらいであれが、概算計上されている棚卸資産の評価額が適正であるかが問題となります。本来は、実地棚卸を行うべきではありますが、中小零細企業で人手がなく、実地棚卸をすることができない場合もあるため、実務上の対応ともいえます。過小評価している場合には、税務調査職員からの指摘を受けることが予定されます。
いずれの場合であっても、棚卸資産が過小評価されている場合には、税務調査に先立って修正申告を行うかを検討しましょう。
令和6年3月末日